東京カメラ部10選、写真コンテスト入賞者の方々がEOS M3を手にお気に入りの撮影スポットへ小旅行に出かけてきました。小旅行の中で撮影された作品の美しさから、EOS M3ならではの持ち運びやすさ、画の美しさ、EFレンズの性能をフルに引き出せるポテンシャルの高さをご確認ください。
ウエディング写真の仕事の傍ら、ライフワークとして日本各地のネコたちを撮り集めています。いずれの撮影もメイン機材は一眼レフのEOS 5D MarkIIIで、サブカメラとしてミラーレス一眼のEOS Mを携行しています。
EOS 5D MarkIIIは撮影者のイメージを確実に写してくれる手放せない存在ですが、正直、ネコの撮影ではもっとコンパクトな機材で撮れたら…と思っていました。機材がコンパクトなら、ネコたちに威圧感を与えずにすみます。それに、ネコの撮影は一日散歩しながら撮るようなスタイルなので、小さく軽い機材ならいっそう足取り軽く撮影を楽しめるような気がします。
EOS Mはその点、軽快に持ち歩くことができ、撮影も快適で満足しています。けれども、あくまでサブカメラの位置づけで使うことがほとんどでした。
今回EOS M3が新しく登場したということで、その新搭載の機能と新たな装いに期待してメインカメラとして使ってみることにしました。行き先は福岡県にある、ネコの島。長いこと通っている馴染みの島で、馴染みのネコたちに新しいカメラを向けてみました。
Canon EOS M3・EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM・1/2000s・F5.0・ISO400 Photo by Kenichi Morinaga
船を降りて通りへ出るとさっそくネコたちに迎えられました。目が合うとこちらに駆け寄ってくるネコもいますが、近づきすぎて撮れなくなることも。そんなネコには、興味なさそうなそぶりを見せて離れた位置から望遠レンズで撮影するというのが僕の常套手段です。今回、最も出番の多かったレンズが「EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM」。地面すれすれの高さからライブビューで撮ることが多いので、手に収まる大きさの望遠レンズはホールドしやすくて気に入っています。
Canon EOS M3・EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM・1/400s・F5.6・ISO320 Photo by Kenichi Morinaga
静かに寝ているネコを見つけたときは、まずは望遠レンズで距離をとって撮影します。その後は、コミュニケーションをはかりながらゆっくりと距離を縮めていきます。遠くのときは立ったまま撮影。ある程度の距離に入ったらしゃがんで、標準ズームや広角レンズなどレンズ交換しながらいろいろな撮り方をします。EOS M3にはセンサーのダスト対策がされているので、屋外での頻繁なレンズ交換も過剰に心配する必要がないのでいいですね。
Canon EOS M3・EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM・1/200s・F8.0・ISO320 Photo by Kenichi Morinaga
前足を伸ばして気持ち良さそうに眠っているネコを撮影しました。EOS M3がネコの撮影に最適な理由の一つは、ミラーがないので撮影時の音が静かなことです。一眼レフカメラではミラー音で寝ているネコを起こしてしまうことがあったのですが、このカメラなら動物の生活の邪魔をせずにすみます。ちょっとした仕草も撮り逃さないようにドライブモードはいつも「連続撮影」にしていますが、連写時でも静かなのは本当に助かります。
Canon EOS M3・EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM・1/250s・F7.1・ISO320 Photo by Kenichi Morinaga
北風が冷たい日で、ネコたちは暖かい場所を見つけてじっとしていることが多かったです。海沿いの道ばたでは3匹のネコが寒さをしのいで寄り添っていました。その向こうでは島のおじいちゃんが日なたぼっこをしていたので、おじいちゃんを入れてネコを写しました。背景には海とその向こうの山、そして明るい空を入れましたが、白トビさせることなく青いグラデーションを豊かに描き出してくれ、M3のダイナミックレンジの広さを実感しました。
Canon EOS M3・EF70-200mm F2.8L IS USM ・1/250s・F4・ISO320 Photo by Kenichi Morinaga
一眼レフEOSユーザーにとっては、マウントアダプターを使えばEFレンズを活用できる点もEOS M3のうれしいところです。「EF70-200mm F2.8L IS USM」でローアングルから狙ってみました。「EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM」の描写も十分満足していますが、やはり大口径レンズは描写のやわらかさが際立ちますね。主役のネコはシャープに、そしてその前後はなだらかにぼけて、雰囲気ある写真に仕上げてくれました。
Canon EOS M3・EF70-200mm F2.8L IS USM・1/2000s・F5.6・ISO400 Photo by Kenichi Morinaga
ネコがバケツからこぼれたような状態で居眠りをしていました。眠りを妨げないように、望遠レンズで離れたところから写しています。レンズはアダプターとともに「EF70-200mm F2.8L IS USM」を使用しましたが、さすがにカメラが大きく重たくなるので手ブレさせないように電子ビューファインダーを使って撮影しました。電子ビューファインダーを装着することで、EFレンズの出番も増えるような気がします。
Canon EOS M3・EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM・1/2500s・F5・ISO400 Photo by Kenichi Morinaga
しばらくすると別のネコがやってきて、そのまま寄り添って眠り始めました。漁村の穏やかな雰囲気も写したかったので、標準ズームレンズを装着して周りの道具類も画面に収めました。液晶モニターを下向きにしてやや高いところからライブビュー撮影をしています。チルト機構搭載のモニターだからこそ撮れる構図といえるかもしれません。撮影の幅が広がりますね。ライブビュー撮影が多くなるとバッテリーの消耗が気になるところですが、エコモードに設定していたので長時間の撮影を楽しむことができました。
Canon EOS M3・EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM・1/1600s・F8.0・ISO640 Photo by Kenichi Morinaga
ネコがいる場所にはほかのネコも現れることが多いので、周りにも常に気を配っています。このときもふと後ろを向いたら別のネコがちょうどノビをしていたので、すぐにシャッターボタンを押しました。瞬間的な場面でしたが、カメラが確実に捉えてくれたのには驚きです。EOS M3から採用されたというハイブリッド CMOS AF IIIのこの性能を、ネコたちが活発に動き回るこれからの季節にもっと試してみたいです。
Canon EOS M3・EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM・1/800s・F4.5・ISO400 Photo by Kenichi Morinaga
ここでも3匹のネコたちが寄り添って眠っていました。このネコたちは警戒心があまりなく、いつの間にか触れられる距離にまで接近することに成功。せっかくなので、普段使わない広角レンズでカメラを至近距離まで近づけてみたところ、いつもと違う臨場感あふれる寝顔を撮影することができました。広角も面白いものですね。1本1本の毛までシャープに写されているので、大きくプリントして2420万画素の迫力を味わってみたいです。
Canon EOS M3・EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM・1/1250s・F6.3・ISO400 Photo by Kenichi Morinaga
日本海は夕焼けがとてもきれいなので、夕方の撮影もおすすめです。波打ち際に座り込み、広角ズーム「EF-M 11-22mm F4-5.6 IS STM」をつけてカメラを振り上げて撮影しました。広角効果で雲が放射状に広がりドラマチックな景色に写りました。ピクチャースタイルを「風景」に設定しているのでコントラストと彩度が高くなりますが、滑らかな階調がしっかりと保たれているところに大型CMOSセンサーの底力を感じました。
当初はミラーレス一眼だけでどこまで撮れるだろうかと少し心配もありましたが、撮影旅行を終えた今、ネコの撮影においてEOS M3はもはやサブカメラではない、メインカメラとしても十分満足できるカメラだと明言できます。とくにチルト式液晶は、ローアングルを多用するネコ撮影では心強い存在でした。機材が軽快なおかげで島ののんびりしたムードもいつも以上に味わえたような気がします。
取材:丸橋ユキ
福岡を拠点に、ダラダラした雰囲気のネコ写真を撮影しています。見た人がニコッと笑ってしまうネコ写真が撮りたくて、島に通う日々を送っています。
これまでにいくつかのネコ雑誌でフォトエッセイを連載していた経験があります。「NEKO」(ネコパブリッシング)では「路地裏ニャン方見聞録」というフォトエッセイを7年に渡って長期連載していました。
そんなモリケンですが、日本各地へ出張して結婚式撮影やロケーションフォトなどを撮影するウエディングフォトグラファーをしています。「忘れて欲しくない瞬間、覚えていて欲しい気持ちを写真に残したい」をコンセプトに撮影しています。